1. 通信経路を整理する:ルールモードと接続の入口

NotionやFigmaだけをプロキシ経由にし、その他の国内サイトは直接接続にするには、「通信をClashに取り込む設定」と「取り込んだ通信をどこへ送るか決めるルール」の両方が必要です。ルールを追加しただけでは、アプリの通信が自動的にClashへ入るわけではありません。まずクライアントの動作モードをRule/ルールにし、接続一覧で対象の通信が表示されることを確認してください。

ブラウザーなどシステムプロキシに対応したアプリは、クライアントでシステムプロキシを有効にするとClashを経由できます。一方、システムプロキシを無視するアプリや、OS全体の接続も扱いたい場合はTUNモードが候補になります。TUNは通信を取り込むための仕組みであり、NotionやFigmaをプロキシ経由にするポリシーそのものではありません。取り込んだ後の送信先は、引き続きルールで決まります。

この記事では、NotionとFigmaに関連するドメインを指定してプロキシグループへ送り、GeoIPで中国本土のIPアドレスを直接接続に振り分け、残りをプロキシへ送る構成を例にします。利用するコアやクライアントの設定編集方法によって画面の名称は異なります。サブスクリプションを使っている場合は、元ファイルを直接変更すると更新時に上書きされることがあるため、クライアントのオーバーライド、マージ機能、または永続化できる設定編集機能を使ってください。

編集前に確認する項目

  • 実行中のコア:クライアントのコア情報や起動ログで、Clashオリジナル版かmihomoなどのどのコアが動作しているかを確認します。拡張項目の対応状況はコアとバージョンによって異なります。
  • 既存のルールとグループ:rulesを丸ごと置き換えず、既存のルール順序とプロキシグループ名を確認します。ここでは例としてグループ名を仕事用プロキシとします。
  • 変更前のバックアップ:現在有効な設定を複製し、変更した日と目的をメモします。サブスクリプションのキャッシュファイルしか見つからない場合は、それがコアに実際に渡される設定かどうかを先に確認してください。

2. Notion・Figmaのドメインを指定する

ドメインを指定するルールは、IPアドレスの所在地に基づくGeoIPルールより前に置きます。サービスの接続先が中国本土のIPアドレスに解決された場合でも、先に一致したドメインルールを使ってプロキシ経由にするためです。逆に、GeoIPルールを上に置くと、対象の通信が先に直接接続へ振り分けられ、後から書いたドメインルールは評価されません。

次の設定は、既存の設定に統合するためのルール部分の例です。NotionやFigmaの機能、ログイン方式、配信先は変更されることがあります。ここに挙げたドメインは一般的なサービス用ドメインの例であり、すべての組織アカウントやカスタムドメインを網羅するものではありません。利用するサービスの接続一覧やログで、実際に使われている宛先を確認してから必要なルールを追加してください。

mode: rule

rules:
  # Notion のサービス関連ドメイン
  - DOMAIN-SUFFIX,notion.so,仕事用プロキシ
  - DOMAIN-SUFFIX,notion.site,仕事用プロキシ
  - DOMAIN-SUFFIX,notion-static.com,仕事用プロキシ
  - DOMAIN-SUFFIX,notionusercontent.com,仕事用プロキシ
  - DOMAIN,api.notion.com,仕事用プロキシ

  # Figma のサービス関連ドメイン
  - DOMAIN-SUFFIX,figma.com,仕事用プロキシ
  - DOMAIN-SUFFIX,figmausercontent.com,仕事用プロキシ
  - DOMAIN-SUFFIX,figmaassets.com,仕事用プロキシ

  # 既存のLAN向けルールを必要に応じて維持
  - GEOIP,CN,DIRECT
  - MATCH,仕事用プロキシ

DOMAIN-SUFFIXは指定したドメインとそのサブドメインに一致します。たとえばfigma.comのルールはwww.figma.comなどにも一致します。DOMAINは記載したホスト名だけに一致するため、例のapi.notion.comはそのホストを個別に指定しています。APIの宛先が別のホスト名に変更されたり、追加されたりした場合は、実際の接続先を確認して必要な範囲だけ追加してください。

notion.siteはNotionの公開ページなどで使われることがあります。Notionの利用者が公開ページを閲覧する場合だけでなく、自分で公開したページへのアクセスもプロキシ経由になる可能性があります。特定の公開ページだけ直接接続にしたい場合は、その要件と一致するルールを対象ドメインルールより前に置きます。ただし、同じドメインを共有するページをホスト名だけで個別に区別できないことがあります。

ルール例一致範囲確認ポイント
DOMAIN-SUFFIX,notion.sonotion.soとそのサブドメインワークスペースへの接続や認証関連の宛先が別ドメインになっていないか確認
DOMAIN-SUFFIX,notionusercontent.com指定ドメインとそのサブドメイン画像や添付ファイルなどの読み込み先を接続一覧で確認
DOMAIN-SUFFIX,figma.comfigma.comとそのサブドメイン編集画面だけでなく、ログインや共有機能の通信も確認
DOMAIN-SUFFIX,figmausercontent.com指定ドメインとそのサブドメイン画像・プレビューなどのリソースが別ホストから配信されていないか確認
GEOIP,CN,DIRECTルール到達時点で中国本土と判定された宛先IPドメイン指定ルールの後に置き、既存のLANルールも維持

3. 設定を反映して通信を確かめる

ここからは、設定を保存してから実際の接続で確認する手順です。いきなり多くのドメインを追加するのではなく、一つずつ適用結果を観察すると、誤ったルールやグループ名の不一致を見つけやすくなります。

  1. 既存設定を複製します。クライアントに設定の複製機能があればそれを使います。ファイルで管理する場合は、有効な設定とプロキシグループの定義を含めて別名で保存してください。
  2. 動作モードをRuleにします。Globalでは通常、すべての通信を選択中のグループへ送るため、ドメインごとのルールを検証できません。Directも直接接続を優先するモードで、今回の分流確認には適しません。
  3. ドメインルールを既存のルールより上に統合します。ただし、必要なLAN・ローカルアドレス向けルールを削除しないでください。既存ルールとの順序を確認し、最後にあるMATCHより後ろに新しいルールを追加しないようにします。
  4. 設定を検証して再読み込みします。構文検証に成功したら、クライアントで設定を再読み込みします。設定にエラーがある場合は、まず表示された行番号、カンマ、インデント、グループ名を確認してください。
  5. NotionとFigmaを個別に開きます。接続一覧またはログを開いた状態で、Notionのページを読み込み、続いてFigmaの編集画面を開きます。対象ドメイン、適用されたルール、選択グループ、最終ノードを順に確認します。
  6. 国内サイトも確認します。普段利用する国内サイトを一つ開き、接続一覧でGEOIP,CNに一致してDIRECTになっているかを確認します。IPの地域判定やサイト側の配信構成によって、想定と異なる結果になる場合があります。

接続一覧に対象サイトの通信が表示されない場合は、ルールを増やす前に、まずアプリがClashを経由しているかを調べます。ブラウザーでは通信が見えるのにデスクトップアプリでは見えないなら、システムプロキシに従わないアプリである可能性があります。その場合は、TUNの導入要否、OSごとの権限、他のVPNやネットワークフィルターとの競合を確認してください。TUNを有効にする場合も、変更前の設定を保存し、必要な通信だけが取り込まれているか段階的にテストします。

4. 在宅ワーク向けのノードを選ぶ

NotionやFigmaを使うときは、速度テストの数値だけでなく、普段の作業で必要な応答の安定性を見ます。ノードの速度テストは、指定された測定先への応答を示すもので、アプリの編集操作、画像表示、ファイルアップロード、長時間の接続が同じ性能になるとは限りません。近い測定値のノードが複数あるなら、実際の作業を同じ時間帯に行い、画面の読み込みと接続切れの頻度で比べてください。

確認項目見る内容判断の目安
応答時間ノード選択画面のテスト値と、実際のページ操作時の体感極端に遅い値や大きく変動するノードを避け、数回試して安定性を比べる
接続の維持長時間の編集、画面切り替え、再接続の有無短い速度テストだけで決めず、実際の作業時間で切断や再読み込みを確認
アップロードFigmaの画像読み込みや、Notionへの添付ファイル追加小さなファイルから試し、転送が途中で止まらないかを見る
認証と組織ポリシーログイン、SSO、会社のアクセス制御勤務先のネットワーク規則や情報管理方針に従い、許可されていない経路変更を避ける
切り分けやすさ利用ノードとルールが接続一覧で判別できるかまず一つのノードで試し、問題が出たら別ノードと比較して原因を絞る

プロキシグループが自動選択、URLテスト、負荷分散などの方式を使う場合、グループの判定方法はクライアントやコアの設定によって異なります。手動選択できるグループなら、最初は一つの候補を選んでNotionとFigmaを別々に確認し、次に別の候補へ切り替えて同じ操作を比べる方法が分かりやすいです。グループにDIRECTが含まれている場合、ルールがグループへ一致しても直接接続になることがあるため、最終的に選ばれたアウトバウンドも確認してください。

5. 動かないときの切り分けと設定の維持

Notionの画面は開くのに画像が表示されない、Figmaにログインできるのにファイルが読み込めない、といった場合は、対象サービスの一つのドメインだけで通信が完結していない可能性があります。接続一覧で失敗時刻の通信を確認し、ドメイン、適用ルール、送信先、エラーを記録します。見慣れないドメインを見つけたら、サービスとの関係を確認してから、必要ならそのホストだけをルールに追加してください。根拠なく大きなドメイン範囲をプロキシに送ると、関係のないサービスまで経路が変わることがあります。

  • 対象通信がDIRECTになる:ルールモードか、ドメインルールがGeoIPより前にあるか、ホスト名がルールと一致しているかを確認します。
  • グループに一致するが接続できない:グループ内で選択中のノード、ノードの状態、接続先への到達性を確認し、既知の別ノードで同じ操作を試します。
  • 一部の画像や添付ファイルだけ失敗する:接続一覧から該当リソースの宛先を特定します。NotionやFigmaのすべての通信が一つの親ドメインに収まるとは限りません。
  • ルール編集後に元へ戻る:サブスクリプションの更新で設定が再生成されていないか確認し、オーバーライドやマージ設定など、更新後も残る場所へ変更を移します。
  • 国内サイトまでプロキシ経由になる:先行するルールセットや個別ルールが一致していないか確認します。ルールは上から順に処理されるため、GeoIPルールだけで既存の先行ルールを上書きすることはできません。

ルールを追加した後は、Notionの閲覧と編集、Figmaのファイル表示とアップロード、普段利用する国内サイトへの接続を一通り確認します。問題が発生した場合は変更前の設定へ戻せるようにしておき、ノードやルールを一度に複数変更しないことが大切です。これにより、どの変更が改善または悪化につながったかを判断しやすくなります。

クライアントをまだ導入していない場合や、OSごとのインストール方法を確認したい場合は、ダウンロードから使用環境に合うクライアントを選んでください。導入後は、最初にルールモード、通信の入口、既存のグループ名を確認し、そのうえでNotionとFigmaの対象ルールを少しずつ追加すると、安全に動作を検証できます。