1. TUNモードで変わる通信経路

Clash Verge RevのTUNモードは、Windowsの仮想ネットワークインターフェースを使って、システムプロキシに対応していないアプリの通信もMihomoコアへ取り込む機能です。システムプロキシは主にWindowsのプロキシ設定を参照するアプリのHTTP/HTTPS通信を扱いますが、ゲームや一部のデスクトップアプリ、独自の通信処理を行うソフトはその設定を無視することがあります。TUNではOSのネットワーク経路を通じて通信を取り込むため、対象アプリがプロキシ設定に対応していなくても、ルールに従った送出を期待できます。

ただし、TUNを有効にしただけで、すべての通信が必ずプロキシ経由になるわけではありません。コアが接続を受け取った後の送出先は、現在の動作モード、ルール、プロキシグループの選択状態で決まります。ルールモードであれば、接続一覧に表示される照合ルールとポリシーを確認してください。DIRECTに一致した接続は直接接続されます。TUNは通信の入口、ルールは取り込んだ通信の出口を決めるものとして区別すると、原因を切り分けやすくなります。

  • システムプロキシ:Windowsのプロキシ設定を利用するアプリを主に対象とします。
  • TUN:仮想インターフェースを介して、システムプロキシを使わないアプリのIP通信も取り込みます。
  • ルールとモード:取り込んだ通信を直接接続、プロキシ、拒否などに振り分けます。

設定画面の項目名や配置はClash Verge Revのバージョンによって異なる場合があります。以下では、特定の画面配置に依存しない確認順を示します。画面にTUNの項目が見つからないときは、まずアプリとMihomoコアのバージョン、使用中のプロファイルを確認し、クライアントが認識している機能に合わせて操作してください。

2. 有効化前に確認する設定と権限

最初に、Clash Verge Revでプロファイルが読み込まれ、Mihomoコアが正常に起動していることを確認します。プロファイル未選択、YAMLの解析エラー、利用可能なプロキシグループがない状態では、TUNだけを有効にしても期待する通信になりません。現在の設定を変更する前に、クライアントから設定をバックアップするか、プロファイルのコピーを保存してください。サブスクリプション由来の設定は更新時に再生成されることがあるため、キャッシュされたファイルを直接編集するだけでは変更が維持されない場合があります。

次に、クライアントの設定画面でTUN関連の設定を探します。一般設定、ネットワーク設定、Mihomo設定などに項目が分かれていることがあります。画面にサービスのインストールまたは有効化を求める表示がある場合は、その案内に従い、Windowsのユーザーアカウント制御で発行元と操作内容を確認してから許可します。TUN用の仮想インターフェースやルート変更には管理者権限が必要になる場合があります。権限の確認ダイアログを拒否したままでは、設定がオンに見えても経路が作成されないことがあります。

  1. Clash Verge Revを起動し、使用するプロファイルが選択されていることを確認します。
  2. コアの状態が起動中で、ログに設定解析エラーやコア起動失敗がないことを確認します。
  3. 設定画面でTUNを有効にし、サービスの導入や権限付与を求められた場合は内容を確認して完了します。
  4. 画面にスタック、ルート自動設定、DNSの取り込みなどの詳細項目がある場合は、既定値を確認してから一つずつ変更します。
  5. 設定を保存し、必要であればコアを再起動して、TUNの状態表示が有効になったことを確かめます。

詳細なTUN設定を手動で編集する場合、一般的なMihomo設定ではtun.enableが有効化の中心になりますが、他の項目の対応状況や既定値はコアのバージョンとクライアントの管理方法によって変わります。画面が設定を生成する構成では、プロファイルに手動で同じ項目を追加すると、重複設定や上書きが起きることがあります。まずUIで切り替え、設定ファイルを変更する必要がある場合だけ、実際に適用される設定とコアの対応項目を確認してください。

3. TUNを有効にして接続を確認する

TUNをオンにした後は、ブラウザーで一つのサイトを開くだけでなく、対象アプリの通信がコアに届いているかを段階的に確認します。テストの前に、クライアントの接続一覧を開いて表示を消去するか、現在時刻を記録してください。次に、システムプロキシを利用しないことが分かっているアプリで通信を発生させ、接続一覧に新しい宛先が現れるかを確認します。表示された接続のルール、ポリシー、最終的なプロキシノードも確認します。

  1. クライアント側:TUNが有効で、コアが稼働中であることを確認します。起動ログにインターフェース作成やルート設定の失敗がないかも見ます。
  2. 接続一覧:対象アプリを操作した時刻に、新しい接続が記録されるか確認します。宛先が表示されない場合は、アプリが通信を発生させたか、TUNの経路が作成されたかを先に調べます。
  3. 振り分け結果:一致したルールとポリシーを確認します。意図したルールではなくMATCHに一致する場合は、上位のルールやルールモードを見直します。
  4. 実通信:対象アプリ内でログイン、更新確認、ページ読み込みなど、実際に必要な操作を試します。接続一覧に記録されるだけでは、宛先との通信成功までは証明されません。

Webサイトへの接続確認では、Windowsのシステムプロキシを使うブラウザーと、使わない対象アプリを分けて試すと、TUNの効果を区別しやすくなります。ブラウザーだけが成功する場合、システムプロキシ経由で接続できていても、TUNが機能しているとは限りません。逆に、接続一覧に対象アプリの通信が記録され、想定したプロキシグループに割り当てられているなら、取り込みと振り分けの両方を確認する材料になります。

Windows側の状態を確認する場合は、コマンドプロンプトでipconfig /allを実行し、ClashやMihomoに関連する仮想アダプターが存在するかを確認できます。アダプター名や表示内容はバージョンと導入方法で異なるため、特定の名称がないことだけで失敗と判断しないでください。管理者権限のPowerShellではGet-NetRouteでルート情報を確認できますが、経路の意味が分からないまま削除・変更するのは避けてください。

外部IPアドレスを確認するテストは、出口が直接接続かプロキシかを確認する補助になります。ただし、ブラウザーのキャッシュ、サイト側の判定、DNS経路、IPv4とIPv6の違いが結果に影響することがあります。IP表示だけで結論を出さず、接続一覧のルールとポリシー、対象アプリでの実動作を合わせて判断してください。

4. DNS・ルール・既存VPNとの関係

TUNとDNSは関係しますが、同じ機能ではありません。TUNはネットワーク通信を取り込む経路であり、DNS設定はドメイン名をどのリゾルバーで解決するかを決めます。DNSの横取りやFake-IPを使う設定では、DNS応答と後続の接続が同じコアに届く必要があります。DNSだけが成功しても、接続がコアに戻らない、またはルールで意図しない送出先に割り当てられると、サイトは開けません。TUNを有効にした後に名前解決だけ失敗する場合は、DNSの待ち受け設定、DNS関連ログ、対象ドメインのルールを分けて確認します。

また、プロキシモードがグローバルの場合とルールの場合では、同じ接続でも送出先が変わります。検証中は、まず利用中のモードを確認し、対象の通信がどのルールに一致したかを追います。ルールは上から順番に評価されるため、広い条件のルールが先にあると、後から追加した個別ルールは使われません。プロキシグループ内で選択中のノードが停止していないことも確認してください。

Windows Defender ファイアウォール、セキュリティソフト、企業ネットワークのポリシーが、仮想アダプターやコアの通信を制限するケースもあります。警告が出た場合は、アプリ名と要求された通信の内容を確認し、必要な範囲だけ許可してください。セキュリティ機能を一括で無効にする方法は、原因の特定にも安全性にも適しません。

他のVPN、仮想マシンソフト、コンテナ環境、ネットワーク最適化ツールは、独自の仮想アダプターやルートを追加することがあります。複数のソフトを同時に有効にした状態で接続できない場合は、設定を記録したうえで一つずつ停止し、再現するか確認してください。特に、TUNを二つ同時に有効化した状態で経路が競合すると、片方のクライアントだけを再起動しても復旧しない場合があります。

5. 起動しない・有効表示でも通信しない場合

TUNが起動しない場合は、原因を「権限」「サービス」「仮想インターフェース」「コア設定」に分けて確認します。クライアントの画面表示だけで判断せず、起動直後のログとWindowsの通知を同じ時間帯で照らし合わせてください。エラー文、発生時刻、クライアントとコアのバージョンを記録すると、設定変更の前後を比較できます。

  • 権限を求められる、または設定が戻る:Windowsの確認ダイアログを拒否していないか確認します。必要なサービスが未導入または停止している表示がある場合は、クライアントの案内に従って状態を確認します。
  • コアが起動しない:TUN以外の設定エラーがないかログを確認します。プロファイルの解析エラー、未対応の設定項目、起動中のコアの不一致を先に切り分けます。
  • TUNは有効だが接続一覧に通信がない:対象アプリを実際に操作し、仮想アダプターとルートが用意されているか確認します。別のVPNやファイアウォールが干渉していないかも調べます。
  • 接続は表示されるが失敗する:適用ルール、選択中のノード、DNSエラー、dial tcpなどのログを確認します。接続がコアに届いているため、原因はTUN以外の段階にある可能性があります。
  • 一部のアプリだけ動かない:アプリ独自のDNS、IPv6、UDP通信、ローカルネットワークへのアクセス要件を確認します。ブラウザーで成功した結果を、そのまま別アプリの互換性の証明にしないでください。

一度に複数の項目を変更すると、改善した理由が分からなくなります。まず現在の設定とログを保存し、TUNのオン/オフ、既存VPNの停止、プロキシグループの変更などを一つずつ試してください。通常のシステムプロキシへ戻して通信が復旧する場合は、TUN経路または仮想アダプター側の問題が疑われます。一方、システムプロキシでも失敗する場合は、ノード、DNS、ルール、ネットワーク自体の問題も調査対象です。

復旧のためにTUNを停止する場合は、Clash Verge Revの画面からオフにし、クライアントがルートや仮想アダプターを適切に戻したことを確認します。手動でWindowsのルートやアダプターを削除するのは、どのソフトが作成したものか確認できる場合に限ってください。問題が解決した後は、ログレベルを通常設定に戻し、設定変更の内容を記録しておくと、次回の更新時に同じトラブルを避けやすくなります。